ロシア語能力検定を受けてみむとてするなり

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 露検 4 級、無事合格できました。

 年末年始の戯れに 2020 年初頭から始めたロシア語ですが、のんびりペースながらちょっとは身につけることができたようです。実際に使えるかと言われるとかなりあやしいものの、試験に受かるのはいくつになってもうれしいもの。モチベーション維持のためにも実力試しのためにも、次のレベルを目指したいところです。

 などと言ってるそばから、合否発表と一緒に送られてきた試験問題をやり直してみたら結構点数が下がっておりました。復習は忘れずに……。

露検申し込みまで

 試験そのものの詳しいことは公式を見てもらうとして、以下は自分用の備忘録を時系列でつらつらと。ロシア語を始めた 2020 年は NHK 出版の新ロシア語入門をとにかくやってみるということで、4 級範囲の 35 課までを 1 年かけてゆっくりのんびり進めました。この辺の話はこことかここに。このあたりで試験の過去問をやってみたのですが、まあ見事に半分くらいしか解けず、和訳と露訳はちんぷんかんぷん、朗読?なにそれおいしいの?という状態でした*1

 2021 年はお手軽な NHKまいにちロシア語などにも手をつけつつ復習したりしなかったりで気が向いたときにやる程度。イケメンが配信するしょうもないロシア語スラングの動画を眺めたり、イケメンな声の主が淡々とナレーションするロシア語スラングの動画を眺めたりはしてましたが完全に飽きている……。そうこうしてるうちに秋の露検申し込みがスタートし、ここらで気合いを入れにゃ……という気持ちと、ほんとに受かるのこれ?という気持ちとの狭間で葛藤しつつ、ええいままよ!と締め切りぎりぎりに申し込みました。

 ちなみにこの頃までに露和辞典を購入していました。小さい割にかなり収録語数があるのがいちおしポイント。あとやたら化学用語が豊富に収載されていました。なぜ?


露検当日まで (9 月頃~)

 とにかく過去問(過年度問題)をやりこめという先人の教えを信じて、すでに持っていた分を含め過去 5 回分を取り寄せ、何度も解いては解答*2を読みの繰り返しで幸い文法はひと月くらいで安定して合格点を超えるくらいになりました。単に答えを覚えてしまっただけかもしれませんが、まあとにかくそれくらいやりこんでおけば謎の自身がわいてきます。ロシア語のいいところは性数格変化がかなり規則的*3なところで、4 級の文法問題は書いてあるロシア語の意味が分からなくても基本の規則さえ覚えていればフィーリング込み 8~9 割取れるくらいはやさしいです。

 で、文法がかなり点数を取れるようになった(理解はしていない)あたりで和訳・露訳をやってみて絶望するわけですが、露訳は傾向というほどではないもののこんな感じで出るんやなという雰囲気みたいなものがあるので、辞書を引きながら自分で露文を組み立ててみる→解説を見て直してみるを繰り返していくうちになんとなくできるようになり、そうこうしてるうちにちょっとずつ単語力がついて和訳もできるようになるという好循環でなんとか凌ぐことができました。

 独学のせいもありこれまでずっとロシア語で喋るということをしてこなかったツケで朗読も最初はまったくできませんでしたが、過年度問題についてくる模範朗読 CD のシャドーイングで多少は試験までに態勢を整えることができました。和訳問題の露文は朗読問題のものよりすこしだけレベルが高いような気がしたので、そちらで朗読練習をするのも良いかもしれません*4。こればっかりは筆記にも増してとにかく慣れるしかない。

本番(10/30)

 名古屋会場で受けました。栄と千種の間あたりでばりばり都心なのですが(田舎民並みの感想)そこは名古屋なので駐車場事情もばっちりです。そこらで友人に付き合ってもらい時間をつぶしつつ、ひとり会場へ。

 正直てんぱっててあんまり覚えてませんが、後ろのひとがはちゃめちゃに朗読が上手くてさらにてんぱったことだけは覚えてます。あなた 4 級レベルちゃいますやろ……。

 筆記の時間配分は、やはり文法を早く済ませて和訳と露訳に時間を割くのがいいかなと思います。それと時間の限り見直した方がいいですね。てんぱってるので。

受験後から合否発表まで(~12/15)

 終えた直後は自信満々の出来映えだったつもりなのですが、覚えている範囲で*5答え合わせしてみると露訳の性数格変化を結構間違っていたり代名詞にすべきところでしていなかったりと細かいミスがかなり多く、結構どきどきでした。見直しとは何だったのか。

 結果的に合格できたので良かったのですが、これもみなさん書かれているように多少甘めに部分点がもらえたりしたのかもって印象です。朗読も何度かつかえてしまったわりにはまあまあ点数もらえた感じ。

後記

 そんなこんなで無事 4 級には合格しましたが、冒頭にも書いたように使えるロシア語力はまだまださっぱりです。試験で露訳をしてみて実感しましたが、やはり単語力がないと言いたいことが表現できないので、今年は単語帳でもぼちぼちやっていこうかと思っております。

Работай усердно, играй усерднее, мечтай ещё больше!!

*1:ロシア語能力検定 4 級は文法・露文和訳・和文露訳・朗読の 4 部門に分かれておりまして、文法は 100 点満点、ほかは 50 点満点、全部門 60% 以上で合格になります。

*2:経験者のみなさんが書かれていることですが、ロシア語能力検定の過年度問題はありがたいことに解説部分がすごくていねいで、各回の試験で間違いが多かったところや気をつけるべきポイントを詳述してくれていてかなりためになりました。

*3:他言語(ドイツ語くらいしか触れたことないけど)比ではまあ規則的というだけで正直例外多すぎやろという気持ちはあり。

*4:和訳問題の露文がどうのというよりは朗読文を読みやすい構成にしてくれているものと思われる。

*5:試験問題はいったん回収されて、合否発表のときに解説付きの新しいものを送ってもらえます。

ロシア語キーボード沼の畔に立つ

 2022-01-09 追記:買いました。

az3.hatenablog.com

 * * *

 タイトル通りです。物欲の権化です。

 学生時代に奮発して買った REALFORCE をかれこれ 10 年くらいずっと使っていて、打鍵感はもちろん最高だし毎日使ってるのに印字は全然剥げないし壊れないしで全く不満はないんですが、ロシア語はさすがにブラインドタッチできないのでキリル文字の印字がほしいのです。ロシア語キー配列まったくわからん*1。Викисловарь で単語調べたい時とかスクリーンキーボードを起動して画面上でポチポチ打ったりしてるんですが、画面の一部が隠れるしはちゃめちゃに入力が遅いしでストレスフルな毎日……*2

 電子湾とかで探せばロシア語配列の新品キーボードが数千円で売っていますがいまさらメンブレン式に戻れないし、かといって需要が需要なのでメカニカルやら静電容量式のキーボードはおいそれとは見つかりません。ロシア語で検索すれば出てくるのか? ロシア国内のキーボード事情はどうなっているのか気になるところです。手持ちのキーボードに貼り付けられるロシア語シールなんかも売っていたりしますが、まあ見た目がちょっとね(おたくはやっかい)


 で、さらにさらに調べるとキーボードおたく界隈では自作キーボードなるものが流行っているようです。一気に沼っぽさが出てきました。キーボードの筐体そのものから自作しだすハードコアな沼人もいるようですが、もう少し一見さんにやさしい沼の浅瀬のほうとしてキーキャップを細かくカスタマイズしたキーボードを注文できるサービスもあるようです。調べてみたところロシア語配列が標準オプションで選べるメーカーがいくつか見つかりました。まだまだあるかもしれないですが以下のふたつはなかなか良さそうです。

jp.varmilo.com
www.wasdkeyboards.com

 ロシア語キー配列ではこんな感じになります。上が VARMILO、下が WASD です。なかなかいいのでは。VARMILO では革命のテーマなる厨二病がびんびんに疼く印字も選べるのですが、これはキリル文字が赤色で色分けされるくらいでけばけばしいことはないので視認性が良いかもしれません。フォントサイズが少し小さくなってしまうのが玉に瑕。

 VARMILO の 87/88 キーボードは横から見ると基部が結構露出しているのが見た目的にちょっとうーんな感じ、WASD は見た目はいいのですが ABS 製キャップに UV 印刷で耐久性が心配(というか実際使ってると剥げるという記事がちらほら)で悩ましいところです。VARMILO は Cherry 軸ほか定評ある既製の軸に加えてメカニカルの構造に静電容量式を突っ込んだ変態チックなオリジナル軸も選べまして(WASD は Cherry 軸から選べます)これがキー荷重 35 g ととても軽く*3惹かれるものがあります。一方 WASD はキーボード側がみんな大好き USB Type-C 接続なのに対して VARMILO は Mini USB なのが少し引っ掛かりますが(やっかいなので)まあそんなに抜き差しすることはないので目くじら立てるほどのことではないかもしれない。お値段はどちらも 2 万円ちょっと、安くはないですがオーダー品ということを考えればお得な気もしてきます。ぐぬぬ

 気になる人には気になる VARMILO 軸の打鍵音はこちらで公開されています。個人的には静かなほうが嬉しいですが打鍵音はやや大きめのようです。それにしても運指がきれいな人のタイピングは見ていて気持ちが良いものです。

mag.nioufuku.net

 また、Majestouch などの Cherry 軸キーボードをすでに使っているならロシア語のキーキャップだけ購入して交換するという大蔵省スタンディングオベーション待ったなしのお財布にやさしい方法もありました。KPREPUBLIC のキーキャップは PBT 製+昇華印刷なので耐久性もよさそうです。というかほんとはこれの REALFORCE 用が欲しいんですけど、REALFORCE の交換用キーキャップってほとんどないんですよね。東プレ軸のキーボードが東プレ以外からはあんまり出ていないからでしょうか……ユーザ数は多そうなものですが……*4

 と、ここまで書いたところで Викисловарь 用のロシア語キーボードを買う前に露和辞典をそろそろ買ったほうがいいことに気付くのでした。なんともはや。

*1:Wikipedia によれば昔はラテン文字キリル文字の発音がおおむね対応している(キリル文字に合わせてラテン文字が配置されている)キリル文字 ЙЦУКЕН 配列/ラテン文字 JCUKEN 配列のキーボードが主流だったようですが、国際化の流れなのか現在ではキリル文字は ЙЦУКЕН 配列のままラテン文字はおなじみ QWERTY 配列というのが普通になっているようです。混乱しないのだろうか……。まあ日本人も日本語をかな入力で打つ人いるので慣れの問題なのかもしれない。

*2:ロシア語の勉強を毎日やっているのかという疑問はさておくとする。

*3:いま使っている REALFORCE がキー荷重 30 g でもっと軽くてもいいくらいなので、すこすこ打てる軸が増えると個人的にうれしいなといったお気持ち。

*4:東プレ軸の HHKB に Cherry 軸のキーキャップをつけちゃう猛者もいるようですがなんか大変そうなのでパス。

ソビエトロシアではあなたは言葉を注意深く見ていないかもしれない

 なんとか三日坊主にならずにロシア語の勉強が続いています。夏の間あれこれ言い訳をつけて四か月くらいすっぽかしましたが、NHK 出版の新ロシア語入門を年末までに 35 課までなんとかやってみる(理解したとは言っていない)という超スローペースです*1。後半になってくると 1 課分やるだけで結構しんどく心が折れそうになり、平日はかなりお手軽なまいにちロシア語をやるようにしました。三遊亭楽麻呂さんのおちゃらけトークと Анастасия さんのクールなつっこみで、聞いてるだけで楽しいのが良いところ。NHK 万歳。テレビないのに受信料のお布施をしているだけの甲斐があります。ちなみにこのまいにちロシア語、やはりというべきか NHK の語学テキストまいにちほにゃららシリーズの中でもマイナーなほうらしく、近所の書店に行ってもたいてい置いてあるのは中韓仏独伊、あってスペイン語までで、結局 Amazon で求める羽目に。本はなるべく本屋で買いたいですが、売ってないものは仕方がないですね。まだ毎日放送してくれているだけありがたいと思わねばなるまい*2

 で、例によって前置きが長くなりましたが、今日はロシア語の発音で少し気づいたことなど。ちょっと前まではまずキリル文字を手書きで書くというところから詰まっていてそれどころではなかった*3ですが、最近は少し発音に気をつける余裕が出てきました。なんといってもロシア語は発音が命です(わかった風)。

 形容詞は名詞に合わせて性数格変化するので、ひとつの形容詞につき名詞の数倍の変化形があって思わずお上品ではないカースワードが飛び出してしまいますが、それはさておき代表的な形容詞変化の形として -ый 型の硬変化語尾があります。「新しい」の новый、「美しい」の красивый とかそういうやつです。見出しの男性形のほかに、中性名詞の修飾には -ое、女性名詞には -ая とそれぞれ変化しますが(いずれも主格形)初学者向けにルビの振ってある某単語集だと новый / новое / новая はそれぞれ のーぶい / のーばえ / のーばや だというのです*4。初めはそういうもんかと思って聞き流してましたが、耳を慣らそうと思ってお部屋 BGM 代わりに Радио России をずっと流していたそのとき八木に電流走る――!*5

www.radiorus.ru

 日本のラジオでもおなじみ毎正時になると「○時になりました、ニュースをお伝えします」みたいなノリで、Радио России でも Московское время... 00 часов... と流れてきます。モスクワ時間○時ですって意味です。しかしこれが何回聞いても マスコフスカヤヴリェミャ…… にしか聞こえないというか、はじめ Московская だと勘違いしていたくらい マスコフスカヤ と聞こえるわけです *6。教科書的には「ますこふすかえ」のようになるはずです。いや、なるはずでした。ほーん聴取は難しいやなーと他の形容詞も聞いてみると、やっぱり大体の硬変化形容詞は中性形と女性形が同じに聞こえます。これは大変だ、耳が完全にあほの子になってしまったと思って慌てふためき発音記号付きのテキストをひっくり返すと、果たしてそこには новое [nóvəjə] / новая [nóvəjə] と書いてあるではありませんか! おい!!! 同じやんけ!!!!!(余裕ゼロ)*7

 ほかにもロシア語のアルファベットに ё という文字がありまして、ぃよー、って感じの音なのですが、ロシア語文化圏では上のてんてんを書くのが面倒なのかたいてい ё は е と書かれるらしく、しかしロシア語の е は本来 ぃえー って感じの全然違う音なのです。にわにはにわにわとりがいる的なノリなのか。誰ですかロシア語は書いてある通りに読めばいいとか言い出した人は、ドイツ語の時と同じトラップを感じるぞ*8*9。まだまだ道のりは長そうです。シベリア鉄道は一日にして成らず。

 * * *

 ちなみに Радио России もいいですが、もうちょい砕けた感じが味わいたい気分の時は YouTube の Be Fluent in Russian チャンネルを見てます。ネイティブのロシア人が(最近は特に)分かりやすい英語でしゃべってくれるので、適当に注釈が入るおかげもあって英語苦手マンでもそれなりになに言ってるのかわかります。なに言ってんだかなんだかよくわからん回も、Фёдор がイケメンなので見てるだけでとりあえず癒されます。グッドルッキンガイ・セイブズ・ザ・ワールド。

www.youtube.com

*1:前書きによると 35 課まででロシア語能力検定 4 級の範囲になるそうで、本自体は全部で 50 課まであります。え? 明日から次回の検定の申し込みが始まるって? ははは、なんのことやら……(過去問解いたら文法すら半分くらいしかできませんでしたゆるして)

*2:NHK アラビア語講座は週一。

*3:筆記体をどう書くかみたいのはそれなりに出てくるんですけど、ブロック体の書き方がほとんどなくって最初しんどかったです。特に Д と Л、あと小文字の б あたり。Ц(右の縦棒が下に突き抜けてしまいがち)と小文字の ч(и と見分けられなくなってしまう)も調子が良くない日はうまく書けない。参考までに、Д と Л はギリシア文字の Δ(ただし下向きのひげはちゃんとつける)と Λ のように、小文字の б は大文字 Б をスモールキャップのように、それぞれ書くと良いようです。キリル文字自体がもともとギリシア文化圏から入ってきたものなので、まあそれはそうなのかも。

*4:В は ヴェー の音つまり のーゔい / のーゔぁえ / のーゔぁや やろがいというのはここではひとまずなしで。

*5:ずっと「そのとき八木に電流走る」だと思ってたんですけど、正しくは「しかし八木に電流走る」らしいです。

*6:時差を調べようとして Московская время と打ち込んだ時に、いや время は中性名詞やから Московское やんけと気付き……気付くわけもなく Google 先生にもしかして?と指摘されて気付きました。ちなみにモスクワと日本の時差は JST-6、つまり日本のほうが 6 時間進んでいるそうです(日本が 12:00 のときモスクワは 06:00)

*7:ちなみに結構同じ疑問を抱いている人がいるらしく ここ とか ここ で同じこと訊いてる人がいました。

*8:第二外国語でドイツ語を履修したけど全く覚えられなかった。der den dem das! sin cos tan!!!

*9:他にもアクセントの有無で母音の発音が変わったりするまだ分かりやすいほうの変化をはじめ、語尾にある子音や連続子音の特殊な発音などなど、一応規則にはなっているが初学者につらい例外が結構あってほんまそういうとこやぞ。